NOUKANO JOURNAL

若齢幼虫の巡回表—卵・白変葉・食入前で夏のチョウ目害虫を見つける

結論は、予察情報が出たら散布を自動的に決めるのではなく、オオタバコガでは生長点・花蕾・幼果、シロイチモジヨトウでは葉裏の卵塊・透けた食害・集団幼虫を優先して見回り、発見場所を次回も見る地点として残すことだ。農林水産省の2026年7月8日発表では、両害虫が東海、近畿など複数地域の一部で多くなると予想された。幼虫が植物体内へ食入したり分散・成長したりする前に、除去、地域指導に沿った防除、周辺株の再確認までを一続きの作業にしたい。

農林水産省の病害虫発生予報第4号は、2026年夏にオオタバコガとシロイチモジヨトウの発生が東海、近畿など複数地域の一部で多くなると予想した。ただし、国の予報は都道府県の調査結果などを取りまとめた広域情報であり、自園の全区画に幼虫がいることを示すものではない。同省も地域の詳細について都道府県病害虫防除所の情報を参照するよう案内している。国の予報、自県の注意報・予報、自園の株上調査という順に範囲を狭め、防除の要否は最後に作物を見て判断する。

愛知県は7月3日、花き類・野菜類・ダイズのオオタバコガと、野菜類・花き類・ダイズのシロイチモジヨトウについて県内全域を対象とする注意報を発表した。根拠は複数地点のフェロモントラップで直近1か月の総誘殺数が平年より多い、またはやや多かったことなどである。トラップが捉えるのは雄成虫の動向で、卵や幼虫の株上密度そのものではない。誘殺数の増加は「散布決定」ではなく、「巡回区画と確認部位を増やす合図」として使うのが実務的だ。自県の情報が平年並みでも、前回見つけた区画、花蕾や幼果が増えた区画、施設開口部に近い列は巡回から外さない。

オオタバコガは、大きな穴が開いてからではなく、上部の生長点、新芽、花蕾、幼果とその付け根を一組として見る。千葉県の2026年防除指針では、卵は卵塊ではなく1~数個ずつ広い範囲に産み付けられ、生長点付近や上部の花蕾などが産卵場所になるとされる。ふ化後しばらくは生長点付近などにいるが、その後は果実や茎へ食入することが多い。トマトなどの果菜類では花房から幼果へ、キャベツやレタスでは外葉から結球部の入口へ視線を移し、小さな食害、虫糞、食入孔があれば周囲を丁寧に探す。幼虫の体色だけで即断せず、被害部位を含む写真を残す。

シロイチモジヨトウは、葉に卵塊を産み、ふ化直後の幼虫が集団で葉の表皮を残して食害するため、葉が白色から褐色に透けて見えることがある。したがって、通路から葉表だけを眺める巡回ではなく、選んだ株の葉裏まで返し、卵塊、透けた葉、まとまった小さな幼虫を探す。ねぎでは葉内、花きでは生長点や花蕾へ食入する場合もあるため、葉面に虫がいなくても新しい透過痕や傷があれば内部食害を疑う。愛知県の注意報は、分散前の幼虫集団や卵塊を見つけ次第捕殺するよう求めている。卵塊や集団幼虫を発見できる時期は、一度の処置で複数個体を減らしやすい確認段階である。

巡回記録は、害虫名を確定してから書くのではなく、観察した事実を先に残す。最低限、ほ場・施設名、区画または畝、確認日、作物と生育段階、卵・幼虫・食害を見つけた部位、発見株数、写真番号、その場で行った処置を記録する。「上部の花蕾に単独の卵らしきもの」「葉裏に毛で覆われた卵塊」「表皮を残した透けた食害」のように書けば、同定が未確定でも再巡回に使える。見つからなかった日も記録すると、前回と同じ株、同じ部位を見たか確認でき、担当者が替わっても調査条件をそろえやすい。

卵塊や集団幼虫は、地域の指導に従い可能な範囲で除去・捕殺し、発見株だけで終わらず周辺株の同じ高さ、同じ生育部位を続けて確認する。食入孔や大きな幼虫を見つけた場合は、すでに初期発見の段階を過ぎている可能性があるため、その区画を重点地点に格上げする。被害残渣には卵や幼虫が付着している可能性があるので畝間へ放置せず、地域で定められた方法で適切に処分する。雑草は両害虫の増殖源となり得るため、ほ場周辺も確認する。ただし、除草や残渣処分だけで株上の個体がいなくなるとは考えず、処置後も巡回を続ける。

愛知県の注意報では、オオタバコガは茎、花蕾、果実、結球部へ食入した幼虫や齢の進んだ幼虫に対して薬剤効果が著しく低くなり、シロイチモジヨトウも齢が進むと薬剤効果が低下するとされている。農薬を使用する場合は、発見した害虫らしき個体、作物名、生育・収穫段階を整理したうえで、自県の最新指導、農林水産省の農薬登録情報提供システム、手元の製品ラベルを照合する。登録作物、対象害虫、希釈倍数または使用量、使用方法、使用時期、収穫前日数、使用回数を守り、効きにくいからと自己判断で濃度や回数を増やさない。

愛知県はシロイチモジヨトウについて一部殺虫剤への感受性低下を確認しており、薬剤選択は指導機関へ相談し、同じ系統の連用を避けるよう注意している。施設では換気口、出入口、裾部などの開口部が防虫ネットで実際に覆われているか、破れや隙間がないかを点検する。ネットは成虫の侵入を抑える予防策であり、すでに施設内にある卵や幼虫を除去するものではない。補修後も作物の見回りを止めず、処置日、使用した対策、次回確認する区画を記録する。種類の判定や薬剤系統に迷う場合は、写真と採取位置を添えて病害虫防除所、普及指導機関、JAの営農指導員などへ相談する。

巡回で見つけた兆候から決める次の行動

見つけた兆候主に疑う段階その場の行動次回の重点確認
生長点・花蕾に単独または少数の卵らしきものオオタバコガの産卵直後を含む段階写真と部位を記録し、地域指導に従って除去。周囲の花蕾・幼果も確認する同じ畝の生長点、花蕾、幼果
葉裏の卵塊、透けた葉、集団の小幼虫シロイチモジヨトウの分散前を含む段階可能な範囲で除去・捕殺し、発見株と周辺株を記録する周辺株の葉裏と新芽、同じ区画の透過痕
虫糞、小さな穴、新しい食害食入開始または幼虫活動中の可能性穴の入口と付近の幼虫を確認。写真、株数、部位を残す果実・茎・結球部・花蕾など作物別の食入先
大きな幼虫、果実・茎・結球部内の食害齢が進んだ、または食入後の可能性被害部と周辺を重点調査し、防除所などへ防除方法を相談する発見地点を中心とする周辺株と新しい食害
卵・幼虫・食害なし巡回時点で未確認確認株、部位、日付を記録し、予察情報の更新を確認する同じ確認株に加え、開口部付近や生育の進んだ区画

HOW TO

手順

  1. 1

    予報を巡回開始の合図に変える

    国の予報と自県の注意報を確認し、平年並みでも前回発見区画や花蕾・幼果が増えた区画、施設開口部に近い列は巡回から外しません。

  2. 2

    産卵方法に合わせて見る場所を変える

    オオタバコガは生長点・新芽・花蕾・幼果とその付け根を、シロイチモジヨトウは葉裏の卵塊や透けた葉を確認します。

  3. 3

    発見地点を記録して周辺株まで追う

    ほ場名、区画、確認日、部位、発見株数、処置を記録し、卵塊や集団幼虫を除去した後も周辺株の同じ高さ・部位を確認します。

  4. 4

    農薬・防虫ネット・再巡回を一つの判断にする

    農薬使用時は登録作物、対象害虫、希釈倍数、収穫前日数を確認し、防虫ネットの補修後も見回りを止めず処置日と次回確認区画を記録します。

よくある質問

オオタバコガの若齢幼虫はどこを探せばよいですか?

生長点、新芽、上部の花蕾、幼果とその付け根を優先します。新しい食害や虫糞があれば、その周囲も確認してください。成長すると果実、茎、結球部などへ食入するため、穴が大きくなる前の確認が重要です。

シロイチモジヨトウの卵塊や若齢幼虫の見つけ方は?

葉裏を返して卵塊を探し、表皮だけを残して白色や褐色に透けた葉がないか確認します。ふ化直後は集団で食害するため、透けた部分の周辺に小さな幼虫がまとまっていないか見ます。

フェロモントラップの誘殺数が多ければ、すぐ農薬散布が必要ですか?

誘殺数は成虫の動向を知り、巡回を強めるための情報です。自園の卵、幼虫、食害の確認結果と、自県の発生予察・防除指導を合わせて判断します。トラップ数だけで散布の要否を決めないでください。

防虫ネットを張れば施設内の巡回は不要ですか?

不要にはなりません。開口部の被覆は成虫の侵入を抑える対策ですが、隙間や破れ、苗などからの持込み、すでに施設内にある卵や幼虫は別に確認する必要があります。補修後も巡回を続けます。

シロイチモジヨトウに農薬が効きにくいときはどうすればよいですか?

濃度や使用回数を自己判断で増やさず、使用時点の登録とラベルを確認してください。一部殺虫剤への感受性低下が公的に報告されているため、薬剤の選択や系統のローテーションは地域の指導機関へ相談します。

参考情報

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